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[資料番号] 00098
[題  名] 企画業務型裁量労働制に係る施行通達(H12.1.1付)
[区  分] 労働基準

[内  容]

企画業務型裁量労働制


法・施行規則

指針






基 発 第 1 号
平成12年1月1日


 都道府県労働基準局長殿

労働省労働基準局長   

  労働基準法の一部を改正する法律の施行
 (企画業務型裁量労働制関係)等について



 労働基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第112号。以下「改正法」という。)による改正後の労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「法」という。)第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務(以下「対象業務」という。)に従事する労働者(以下「対象労働者」という。)については同項第3号に規定する時間労働したものとみなす法の制度(以下「企画業務型裁量労働制」という。)が、平成12年4月1日(以下「施行日」という。)から施行される。
 その施行に向け、同項の委員会(以下「労使委員会」という。)の企画業務型裁量労働制に係る決議の届出に係る手続、労使委員会の要件等命令に委任されている事項等について労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)の規定を整備すること等を内容とする労働基準法施行規則の一部を改正する省令(平成11年労働省令第51号。以下「改正省令」という。)が、平成11年12月27日に公布され、一部を除き施行日から施行することとされた他、企画業務型裁量労働制の対象労働者の適正な労働条件の確保を図るため、対象業務等労使委員会が決議する事項等法第38条の4の規定について具体的に明らかにする必要があると認められる事項等を規定することを内容とする労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針(平成11年労働省告示第149号。以下「指針」という。)が同日に告示され、施行日から適用することとされたところである。
 これらの概要は、下記のとおりであるので、了知の上、その施行に遺漏なきを期されたい。


第1 企画業務型裁量労働制

1 制度の趣旨等

(1) 企画業務型裁量労働制の趣旨等については、平成11年1月29日付け基発第45号記の第8の1のとおりであること。
 なお、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」(平成11年7月8日閣議決定)第三部第1章第1節3のイ)において、「自立した個人が主体的に仕事に向かい、そうした働き方を通じて自己実現を目指したり、創造的な能力が発揮できるよう、労働基準法による裁量労働制の的確かつ効果的な活用を進める。」とされ、また、「経済新生対策」(平成11年11月11日経済対策閣僚会議決定)第2部Tの4の(2)のAにおいて「改正労働基準法による新裁量労働制に基づき、創造性豊かな人材がその能力を存分に発揮しうる主体的な働き方ができるよう条件整備を行う。」とされているところであるので、これらに留意すること。


(2) 企画業務型裁量労働制に係る労働時間のみなしは、法第4章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用されるものであること(法第38条の4第1項、改正省令による改正後の労働基準法施行規則(以下「規則」という。)第24条の2の3第2項関係)。したがって法第6章の年少者の労働時間に関する規定及び法第6章の2の女性の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定については適用されないものであること。
 また、労働時間のみなしが適用される場合であっても、法第4章のうち休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用は排除されないものであること。


(3) 指針は、企画業務型裁量労働制に関し、対象業務に従事する対象労働者の適正な労働条件の確保を図るため、労使委員会が決議する同項各号に掲げる事項その他同条の規定について具体的に明らかにする必要があると認められる事項を規定するとともに、企画業務型裁量労働制の実施に関し、同項の事業運営上の重要な決定が行われる事業場(以下「対象事業場」という。)の使用者並びに労働者、労働組合及び労働者の過半数を代表する者並びに労使委員会の委員が留意すべき事項を定めたものであること(指針第1関係)。
 指針は、上記のとおり、労使委員会の委員(以下「委員」という。)を始めとする対象事業場の労使関係者に向けた、いわゆる「ガイドライン」であって、それ自体が法的な拘束力を持つものではない。しかしながら、指針の中で、法第38条の4に規定する事項に関し「具体的に明らかにする事項」としてその解釈等を規定する部分に反して同条第1項の決議がなされた場合等は、法の規定自体に反することとなるものであり、その結果、企画業務型裁量労働制のみなし労働時間の効果が生じず、対象労働者として決議で定められた労働者についても法第32条ほかの労働時間に関する規定が適用されることとなり得るものであること。



2 対象事業場
 
(法第38条の4第1項、指針第2関係)

(1) 指針第2の2の(2)に掲げる「非本杜事業場に役員が常駐していること」は、指針第2の2の(1)の非本杜事業場が対象事業場に該当するか否かを判断するに当たっての判断材料の一つであり、非本杜事業場に役員が常駐していればすべて対象事業場に該当することとなるものではなく、対象事業場に該当するか否かは、指針第2の2の(1)にいう「当該非本杜事業場に、当該非本杜事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定を行う権限が与えられているか否か」により判断されるものであること。


(2)指針第2の2の(2)の「役員」とは、原則として商法上の取締役をいうものであること。いわゆる「執行役員」については、当該執行役員が実態として当該非本杜事業場の属する法人・企業の業務の運営に関し商法上の取締役に準ずる権限を有するものであると判断される場合には、ここでいう「役員」として取り扱われ得るものであること。


(3)その他対象事業場については、指針第2に規定するとおりであること。



3 労使委員会の決議


(1)労使委員会で決議すべき事項
 (法第38条の4第1項各号、規則第24条の2の3第3項、指針第3関係)

 企画業務型裁量労働制を導入するに当たり、労使委員会で決議する事項は、次のとおりであること。

イ 当該事項について決議しなければ企画業務型裁量労働制の効果が生じない事項
 (以下「必要的決議事項」という。)


(イ)対象業務(以下「1号決議事項」という。)
(ロ)対象労働者となり得る労働者の範囲(以下「2号決議事項」という。)
(ハ)みなし労働時間(以下「3号決議事項」という。)
(二)対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置を使用者が講ずること(以下「4号決議事項」という。)
(ホ)対象労働者からの苦情の処理に関する措置を使用者が講ずること(以下「5号決議事項」という。)
(へ)使用者は(ロ)の範囲に属する労働者に企画業務型裁量労働制を適用するに当たっては、当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった当該労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと(以下「6号決議事項」という。)
(ト)決議の有効期間の定め(以下「7号決議事項の1」という。)
(チ)対象労働者の労働時間の状況、使用者が講ずる対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況及び使用者が講ずる対象労働者からの苦情の処理に関する措置の実施状況並びに対象労働者の同意に関する労働者ごとの記録を当該決議の有効期間中及び有効期間満了後3年間保存すること(以下「7号決議事項の2」という。)

ロ 指針において、必要的決議事項に関連して決議することが適当であることに委員は留意することが必要であるとされている事項等(以下「その他の決議事項」という。)

(イ)4号決議事項に関連し、使用者が対象労働者の健康状態を把握すること
(ロ)4号決議事項に関連し、使用者が対象労働者の能力開発を促進する措置を講ずること
(ハ)6号決議事項に関連し、対象業務の内容を始めとする決議の内容等当該事業場における企画業務型裁量労働制の制度の概要、企画業務型裁量労働制の適用を受けることに同意した場合に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容並びに同意しなかった場合の配置及び処遇について、使用者が労働者に対し明示して当該労働者の同意を得ることとすること
(二)6号決議事項に関連し、企画業務型裁量労働制の適用を受けることについての労働者の同意に関し、書面によること等その手続
(ホ)6号決議事項に関連し、対象労働者から同意を撤回することを認めることとする場合には、その要件及ぴ手続
(へ)7号決議事項の1に関連し、委員の半数以上から決議の変更等のための労使委員会の開催の申出があった場合は、決議の有効期間の中途であっても決議の変更等のための調査審議を行うものとすること
(ト)使用者が対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更しようとする場合にあっては労使委員会に対し事前に変更内容の説明をするものとすること


(2)決議事項の内容
 
(指針第3関係)

イ 1号決議事項

 対象業務は、次の(イ)から(二)までに掲げる要件のいずれにも該当するものであること。

(イ)事業の運営に関する事項についての業務であること
 法第38条の4第1項第1号の「事業の運営に関する事項」とは、対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項をいい、対象事業場における事業の実施に関する事項が直ちにこれに該当するものではないこと。

(ロ)企画、立案、調査及び分析の業務であること
 法第38条の4第1項第1号の「企画、立案、調査及び分析の業務」とは、「企画」、「立案」、「調査」及び「分析」という相互に関連し合う作業を組み合わせて行うことを内容とする業務をいうこと。
 ここでいう「業務」とは、部署が所掌する業務ではなく、個々の労働者が使用者に遂行を命じられた業務をいうこと。

(ハ)当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務であること
 法第38条の4第1項第1号の「当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある」業務とは、当該業務の性質に照らし客観的にその必要性が存するものであることが必要であること。

(二)当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務であること
 法第38条の4第1項第1号の「当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とは、当該業務の遂行に当たり、その内容である「企画」、「立案」、「調査」及び「分析」という相互に関連し合う作業をいつ、どのように行うか等についての広範な裁量が労働者に認められている業務をいうこと。


ロ 2号決議事項

 対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であること。
 対象労働者が対象業務を遂行する過程においては、期初、期末における目標設定、成果評価等に必要な会議への出席や関係者等との打合せ等時間配分に関し拘束を受ける場合が生じ得るものであり、また、自己の業務に関係する情報・資料の収集、整理、加工等を行うこともあり得るものであるが、これらの作業は、企画、立案、調査及び分析の業務の不可分な部分を構成するものとして、当該業務に組み込まれているものと評価できることから、これらの業務を含めた全体が対象業務と評価されるものであり、対象労働者は、そのような対象業務に常態として従事することが必要となるものであること。
 法第38条の4第1項第2号の「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」の範囲については、対象業務ごとに異なり得るものであり、このため、対象労働者となり得る者の範囲を特定するために必要な職務経験年数、職能資格等の具体的な基準を明らかにすることが必要であること。


ハ 3号決議事項

 法第38条の4第1項第3号の「対象業務に従事する前号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の労働時間として算定される時間」については、法第4章の規定の適用に係る1日についての対象労働者の労働時間数として、具体的に定められたものであることが必要であること。


二 4号決議事項

 法第38条の4第1項第4号の対象労働者の「労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置」(以下「健康・福祉確保措置」という。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずることについては、次のいずれにも該当する内容のものであることが必要であること。

(イ)使用者が対象労働者の労働時間の状況等の勤務状況(以下「勤務状況」という。)を把握する方法として、当該対象事業場の実態に応じて適当なものを具体的に明らかにしていること。その方法としては、いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったか等を明らかにし得る出退勤時刻又は入退室時刻の記録等によるものであること。

(ロ)(イ)により把握した勤務状況に基づいて、対象労働者の勤務状況に応じ、使用者がいかなる健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にするものであること。


ホ 5号決議事項

 対象業務に従事する対象労働者からの「苦情の処理に関する措置」については、苦情の申出の窓ロ及び担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の手順・方法等その具体的内容を明らかにするものであることが必要であること。


へ 6号決議事項

 企画業務型裁量労働制の対象となることについての労働者の同意は、当該労働者ごとに、かつ、7号決議事項の1として定められる決議の有効期間ごとに得られるものであることが必要であること。


ト 7号決議事項の1

 労使委員会が決議する事項に関する「決議の有効期問」の定めは、当分の間1年以内の期間に限るものであること。


チ 7号決議事項の2

 対象労働者の労働時間の状況、使用者が講ずる対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況、使用者が講ずる対象労働者からの苦情の処理に関する措置の実施状況並びに対象労働者の同意に関する記録は、対象労働者に係るこれらの事項に関する状況を労働者ごとに明らかにするものであることが必要であること。なお、記録の保存に当たっては、既存の書類等に必要な記録がなされ保存されることによって個々の労働者に係る状況が確認できれば、必ずしも個々の労働者ごとの書類として作成し保存する必要はないこと。


リ その他

 上記イからチまでの他、必要的決議事項及びその他の決議事項については、指針第3に規定するとおりであること。



(3)決議の方法
 (法第38条の4第1項関係)

 労使委員会において、法第38条の4第1項に規定する企画業務型裁量労働制の導入に係る決議(以下「決議」という。)をする場合の「委員の全員の合意」とは、労使委員会に出席した委員全員の合意で足りるものであること。このことは、指針第4の3(2)においても明らかにされていること。
 なお、当該決議には委員全員の署名又は記名押印がなされるなど、労使委員会に出席した委員全員の合意によるものであることが明らかであることが必要であること。


(4)決議の届出
 (法第38条の4第1項、規則第24条の2の3第1項関係)
 
 決議は、規則様式第13号の2により、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならないこと。この届出を行わなければ、法第38条の4第1項による企画業務型裁量労働制の効力は発生しないこと。


(5)決議の周知
 
(法第106条第1項、規則第52条の2関係)

 決議については、法第106条第1項に基づき、使用者は対象労働者に限らず労働者に周知しなければならないこと。
 周知の方法については、平成11年1月29日付け基発第45号記の第12の3のとおりであること。



4 労使委員会の要件等労使委員会に関する事項


(1)労使委員会の委員数

 労使委員会の委員数については、指針第4の1の「法第38条の4第1項による労使委員会の設置に先立つ話合い」の過程で、対象事業場の実態に応じて関係労使が任意に定めれば足りるものであること。ただし、労働者代表委員及び使用者代表委員各1名計2名で構成するものと定めることについては、当該2名で構成する委員会の場で決議を委員全員の合意により行うとしても、法第38条の3の規定による裁量労働制(以下「専門業務型裁量労働制」という。)に関し、使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)との書面による協定(以下「労使協定」という。)を締結する場合等と実質的に変わらないこととなることから、企画業務型裁量労働制の導入に関し労使協定の締結とは別に労使委員会の決議に基づくことを定めた法の趣旨に照らし、当該2名で構成する委員会については法第38条の4第1項に規定する労使委員会とは認められないものであること。


(2)労使委員会の委員の指名
 (法第38条の4第2項第1号、規則第6条の2及び第24条の2の4第1項、指針第4の2関係)

イ 当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合に、委員を指名する過半数代表者(規則第6条の2関係)については、平成11年1月29日付け基発第45号記の第13の2及び3のとおりであること。

ロ 委員の指名は、法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者以外の中から、任期を付して行うものであること。なお、任期の限度は法令及び指針では定められていないが、過度に長期にわたるものは適当でないものであること。

ハ 使用者及び委員の指名を行う当該事業場の労働組合又は過半数代表者は、企画業務型裁量労働制の対象労働者及び対象労働者の上司の意見を反映しやすくする観点から、指名する委員にそれらの者を含めることが望ましいこと。


(3)労使委員会の委員の信任
 (法第38条の4第2項第1号、規則第66条の2により読み替えて適用する規則第24条の2の4第2項関係)

 イ 「当該事業場の労働者の過半数」とは、法第41条第2号の監督又は管理の地位にある者、病欠、出張、休職等によって当面出勤が全く予定されていない労働者等を含む当該事業場に使用されている労働者全員の過半数をいうものであること。

 ロ 信任の手続は、労使委員会の委員の信任に関するものであることを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により得なければならないものであること。
 なお、当分の間は、これらの手続のうち投票による手続に限られるものであること。


(4)議事録の作成、保存及び周知
 (法第38条の4第2項第3号、規則第24条の2の4第4項及び第5項関係)

イ 議事録は、法第109条に規定する「労働関係に関する重要な書類」には該当しないものであるが、労使委員会の開催の都度作成し、その開催の日(決議が行われた会議の議事録にあっては決議の有効期間の満了の日)から起算して3年間保存しなければならないこと。
 なお、労使委員会の決議それ自体についても、もとより書面により保存すべきものであるが、これについては法第109条に規定する「労働関係に関する重要な書類」に該当するものであり、同条により3年間保存しなければならないものであること。

ロ 議事録の周知は、以下のいずれかの方法により行わなければならないこと。

(イ)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
(ロ)書面を労働者に交付すること
 「書面」には、印刷物及び複写した書面も含まれるものであること。
(ハ)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
 この方法によって周知を行う場合には、議事録の内容を磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、当該記録の内容を電子的データとして取り出し常時確認できるよう、各作業場にパーソナルコンピューター等の機器を設置し、かつ、労働者に当該機器の操作の権限を与えるとともに、その操作の方法を労働者に周知させることにより、労働者が必要なときに容易に当該記録を確認できるようにすることとすること。


(5)運営規程の作成等
 (法第38条の4第2項第4号、規則第24条の2の4第6項、指針第4の3から5まで関係)

イ 使用者は、労使委員会の招集、定足数、議事その他の労使委員会の運営について必要な事項に関する規程(以下「運営規程」という。)を定めなけれぱならないものであること。指針の第4の3から5まででは、運営規程を定めるに当たって、規則第24条の2の4第6項に掲げる(イ)〜(二)までの事項に関し、それぞれ、次に掲げることを規定することが適当としていること。

(イ)労使委員会の招集に関する事項
 a 決議の調査審議のための委員会、決議に係る有効期間中における制度の運用状況の調査審議のための委員会等定例として予定されている委員会の開催
に関すること
 b 必要に応じて開催される委員会の開催に関すること

(ロ)労使委員会の定足数に関する事項
 a 全委員に係る定足数
 b 労使各側を代表する委員ごとに一定割合又は一定数以上の出席を必要とすること

(ハ)議事に関する事項
 a 議長の選出に関すること
 b 決議の方法に関すること

(二)その他労使委員会の運営について必要な事項
 a 使用者が労使委員会に対し開示すべき情報の範囲、開示手続及び開示が行われる労使委員会の開催時期
 b 当該事業場に労働組合又は労働条件に関する事項を調査審議する労使協議機関がある場合には、それらと協議の上、労使委員会の調査審議事項の範囲についての定め
 c 法第38条の4第5項に掲げる法の規定(以下「特定条項」という。)のうち、労使協定の締結当事者となり得る労働組合又は過半数代表者と協議の上、労使委員会が労使協定に代えて決議を行うこととする場合、当該労使協定に代えて決議を行うこととする規定の範囲についての定め


ロ 運営規程の作成又は保存に関し、使用者は労使委員会の同意を得なければならないこと。なお、この同意については、委員全員の合意によることは法令及び指針上求められていないものであること。


(5)設置の届出
 (法第38条の4第2項第2号、規則第24条の2の4第3項関係)

 労使委員会を設置した場合には、使用者は、規則様式第13号の3により、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならないこと。使用者がこの届出を行わなければ、法38条の4第1項による企画業務型裁量労働制の効力は発生しないこと。
 なお、届出の後に委員の変更がなされた場合においては、労使委員会設置届の変更の届は必要ないものであること。


(6)不利益取扱いの禁止
 (規則第24条の2の4第8項関係)

 使用者は、労働者が労使委員会の委員であること若しくは当該委員になろうとしたこと又は当該委員として正当な行為をしたことを理由として、解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益取扱いをしないようにしなけれぱならないこととしたものであること。


(7)その他

 その他労使委員会に関する留意事項等については、指針第4に規定するとおりであること。




5 労働基準監督署長への報告
 (法第38条の4第4項、規則第24条の2の5関係)

(1)報告時期

 決議の届出をした使用者は、決議が行われた日から起算して6ヵ月以内に1回、及びその後1年以内ごとに1回、規則様式第13号の4により、所轄労働基準監督署長に報告をしなければならないこと(規則第24条の2の5第1項関係)。
 なお、決議の有効期間が、当分の間、1年以内の期間を定めるものに限られていること(規則第66条の2により読み替えて適用する規則第24条の2の3第3項関係)から、当分の間、決議が行われた日から起算して6ヵ月以内に1回報告をしなければならないこととするとの暫定措置が設けられていること(規則第66条の2関係)。


(2)報告事項

 使用者の報告する事項は、次のとおりであること(規則第24条の2の5第2項、規則様式第13号の4関係)。

イ 対象労働者の労働時間の状況
 対象労働者について4号決議事項として把握した時間のうち、平均的なもの及び最長のものの状況を報告すること。また、対象労働者の労働時間の状況を実際に把握した方法を具体的に報告すること。

ロ 当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況

ハ 対象労働者の苦情の処理に関する措置の実施状況

二 労使委員会の開催状況
 労使委員会の開催日時を具体的に報告すること。



6 特定条項に係る労使協定に関する特例
 (法38条の4第5項関係)

(1)労使委員会は、次に掲げる法の規定に関し、当該規定に係る労使協定に代えて委員全員の合意による決議(以下「協定代替決議」という。)を行うことができるものであること。

 ・ 1箇月単位の変形労働時間制(法第32条の2第1項関係)
 ・ フレックスタイム制(法第32条の3関係)
 ・ 1年単位の変形労働時間制(法第32条の4第1項関係)
 ・ 1週間単位の非定型的変形労働時間制(法第32条の5第1項関係)
 ・ 一斉休憩適用除外(法第34条第2項関係)
 ・ 時間外及び休日の労働(法第36条第1項関係)
 ・ 事業場外労働制(法第38条の2第2項関係)
 ・ 専門業務型裁量労働制(法第38条の3第1項関係)
 ・ 年次有給休暇の計画的付与(法第39条第5項関係)
 ・ 年次有給休暇中の賃金の定め(法第39条第6項ただし書関係)

 これらの決議には、上記の各規定に関し、法に基づき定めることとされている事項を含んでいることが必要であること。
 なお、協定代替決議を行う場合の委員全員の合意については、決議について(3の(3)参照)と同様、労使委員会に出席した委員全員の合意で足りるものであること。


(2)協定代替決議の中で法により行政官庁への届出を要するもののうち、1箇月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、事業場外労働制及び専門業務型裁量労働制に係るものについては、労働基準監督署長への届出を要しないものであること。


(3)協定代替決議のうち、時間外及び休日の労働に係るものについては、規則様式第9号の3により労働基準監督署長への届出が必要であること。また、時間外及び休日の労働に関し決議がなされ、事業場外労働に関し協定がなされている場合には、両者を規則様式第9号の2により届け出ることはできず、それぞれ規則様式第9号の3及び規則様式第12号による届出が必要であること。


(4)協定代替決議のうち時間外及び休日の労働に係るものについては、労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)及び特定労働者に係る労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第155号)に基づき、労使協定の届出があった場合と同様の指導を行うものであること。



第2 その他

1 施行期日

 改正法(企画業務型裁量労働制関係部分)並びに改正省令及ぴ指針は、平成12年4月1日より施行・適用されるものであること。ただし、改正省令のうち3の教育職員の労働時間の特例措置の廃止時期に係る改正規定は、公布の日より施行されているものであること(改正省令附則第1条ただし書関係)。


2 届出等に係る規則の様式の改正


(1)企画業務型裁量労働制の導入に伴う整備

 企画業務型裁量労働制の導入により労使委員会が設置されることに伴い、規則中様式第9号の3を改め様式第9号の4(時間外労働・休日労働に関する時短推進委員会の決議届)とし、様式第9号の3(時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議屈)を新たに定めたものであること。

(2)男女別の労働者数記入欄の削除

 届出等に係る様式の中には、記載すべき内容に関し男女別の規制が特段設けられていないにもかかわらず、男女別の労働者数を記入させる欄が設けられているものがあるが、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)の趣旨も踏まえ、男女別の記載をさせることが理由なく男女別の扱いとすることを助長することにつながらないよう、また、届出者の負担を軽減する観点から、規則中次の様式について、不要な男女別の労働者数の記入欄を様式中から削除し、あわせて、所要の整備を行ったものであること。

 ・ 様式第5号(1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届)
 ・ 様式第6号(非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働届許可申請書)
 ・ 様式第12号(事業場外労働に関する協定届)
 ・ 様式第13号(専門業務型裁量労働制に関する協定届)



3 教育職員に係る労働時間の特例措置の廃止時期

(1) 趣旨

 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校のうち一定範囲のものの教育職員については、学校週5日制の進捗動向とその勤務時間の取扱いが密接な関係にあることから、当分の間、週の労働時間を44時間とする労働時間の特例措置が設けられているところである(規則第67条関係)。今般、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成11年文部省令第7号)により学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第47条が改正され、公立学校において平成14年4月1日から毎週土曜日が休業日となることとされたことから、当該期日に合わせてこの特例措置を廃止することを明らかにすることとしたものであること。

(2) 内容

 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教育職員(以下「特定教育職員」という。)に係る労働時間の特例措置を講じる期問を「平成14年3月31日までの間」としたものであること(規則第67条第1項関係)。

(3) 経過措置

 平成14年3月31日(以下「基準日」という。)において本特例措置の適用を受けている特定教育職員については、基準日を含む'週間については、週44時間まで労働させることができること。また、規則第67条第2項の一箇月単位の変形労働時間制を採用している場合には、基準日を含む一箇月以内の一定の期間については、週44時間まで労働させることができること(改正省令附則第2条関係)。



4 関係通達の整理

(1)平成11年3月31日付け基発第169号「労働基準法関係解釈例規の追加について」の改正
 平成11年3月31日付け基発第169号の記の7(表題を含む。)中、「新たな裁量労働制」を「企画業務型裁量労働制」に改める。

(2)平成11年1月29日付け基発第45号「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」の改正
 平成11年1月29日付け基発第45号の記の第8の表題を「第8企画業務型裁量労働制」に改める。

(3)平成9年2月14日付け基発第93号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行等について」の改正
 平成9年2月14日付け基発第93号の記の7(表題を含む。)中、「裁量労働に関するみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に、「裁量労働制に関するみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に、「則第24条の2第6項」を「則第24条の2の2第2項」に改める。

(4)平成6年1月4日付け基発第1号「労働基準法の一部改正の施行について」の改正
 平成6年1月4日付け基発第1号の記の4(表題を含む。)中、「裁量労働に関するみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に、「裁量労働」を「専門業務型裁量労働制」に、「則第24条の2第6項」を「則第24条の2の2第2項」に改め、記の7の(2)中、「当分の間」を「平成14年3月31日までの間」に改める。

(5)平成4年9月1日付け基発第494号「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の施行について」の改正
 平成4年9月1日付け基発第494号の記の4の(3)の二の(イ)中、「1か月単位の変形労働時間制」を「1箇月単位の変形労働時間制」に、「裁量労働制」を「専門業務型裁量労働制」に改め、同(ロ)中、「届出を要するもののうち」の次に「、1箇月単位の変形労働時間制」を加え、「裁量労働制」を「専門業務型裁量労働制」に改め、(ハ)中、「規則様式第9号の3」を「規則様式第9号の4」に改める。

(6)昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号「労働基準法関係解釈例規について」の改正
 昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号の「第38条の2関係」中、1の表題を削る。同「第38条の2関係」2<裁量労働の範囲>中、表題を「<専門業務型裁量労働制の範囲>」に、「裁量労働に関するみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に、「裁量労働のみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に改め、<プロジェクトチームの場合>中、「裁量労働と言い得るか。」を「専門業務型裁量労働制に該当し得るか。」に、「裁量労働」を「専門業務型裁量労働制」に改め、く裁量労働における労働時間の算定方法>中、「裁量労働」を「専門業務型裁量労働制」に改め、<一か月単位のみなし労働時間の協定>中、「裁量労働」を「専門業務型裁量労働制」に改め、<みなし労働時間制の適用範囲>中、「裁量労働のみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制に係る労働時間のみなし」に、「範囲」を「適用」に、「みなし労働時間制」を「労働時間のみなし」に改め、<労使協定の届出>中、「裁量労働のみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に改め、同「第38条の2関係」2を「第38条の3関係」に改める。

(7)昭和63年1月1日付け基発第1号・婦発第1号「改正労働基準法の施行について」の改正
 昭和63年1月1日付け基発第1号・婦発第1号の記の3の(2)の表題を「(2)専門業務型裁量労働制」に改め、ロ中、「裁量労働に関するみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に改め、「裁量労働のみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に改め、ハ中「裁量労働」を「専門業務型裁量労働制」に改め、ホ中「裁量労働のみなし労働時間制」を「専門業務型裁量労働制」に改める。